引き据えられた老王に剣が突きつけられる。
白皙の少年王はただ冷徹に見据えるのみ。

「王よ、余はそなたの命に逆らったか?」

「否」

「王よ、余はそなたの敵と通じたのか?」

「否」

「王よ、余はそなたに剣を向けたか?」

「否」

「王よ、では余の罪とはなんなのだ?」

「老公、卿の罪は弱さだ」

老王の胸に剣が突きたてられた。
老王は倒れ剣は砕ける。






砕けた剣が再び一本の剣に戻り、厳粛な裁決を下す。

「ならば王よ、それはそなたの罪だ」

少年王の胸に剣が突きたてられた。








おうさまのけん
「剣の王」 −King Aruthoria− 第三話 後編
Saber





「士郎、セイバーが目を覚ましたわ」

ドアが開いて遠坂が顔をのぞかせる。

「おっけ、こっちも準備できたすぐ持っていく」

俺は手早く準備を済ますと、セイバーの部屋へと向かった。




「凛! 今すぐ行かねば!」

「だぁ――! 起きるんじゃない!」

俺が部屋に入るとセイバーと遠坂がベットの上で組んず解れずしていた。

「しかし、凛! 剣を」

「剣も槍も無い! あんた自分の状況わかって言ってるんでしょうね?」

ううん、凄いな。弱っているとはいえ遠坂がセイバーをベットに押し倒している。
両手を押さえ、逃れようともがくセイバーの腰にのしかかり、首筋に顔を埋め上体を押さえ込む。足だって股に膝を押し込み、腿をがっちり絡めてる。いや、もう目のやり場に困る情景だ。

「こら! そこで赤くなって突っ立ってない! あんたも手伝いなさい。この馬鹿、今からあの城に行こうってのよ!」

あ、そら拙い。遠坂によると今のセイバーは空っぽのはずだ。何をそんな焦ってるんだ? おれは運んできた盆をテーブルに置くと遠坂の加勢に加わった。

「セイバー落ち着け。今、行ったところで何にもならないぞ」

「だが、シロウ! このままでは私はまた剣を失ってしまう」

まるで駄々っ子だ。泣きそうな顔でじたばたともがく、こんなセイバー初めて見る。

「だからって、今から行ったってしょうがないでしょ!」

遠坂が容赦なく怒鳴りつける。あ、まずい。こいつも完全に頭に血が上ってる。

「――Craw――」

と、そんな喧騒をよそ事のように枕元でランスが一声鳴いた。恐ろしく厳粛で真摯な叱責。そんな鳴き声だ。その後ただじっとセイバーを見据えている。

「しかし、ランス……」

セイバーの言い訳が尻すぼみになる。一切の言い訳も通じない、泣き顔にも醜態にも動じない忠諌の瞳。セイバーは唇を噛みしめると、もがくのを止めた。

「セイバー落ち着いた?」

ランスの一声で遠坂の頭も冷えたようだ。落ち着いた声でセイバーに問いただす。

「はい。申し訳ない、凛」

俺もほっとした。幾分暗めではあるがいつものセイバーだ。

「よし、じゃ飯だ。セイバーも腹減ってるんだろ? 出来たてだぞ、冷めないうちに食っちまえ」

俺は厨房から運んできたお盆をベットテーブルに載せた。

「シロウ、もしやこれは……」

セイバーが呆気にとられている。よしよし、苦労した甲斐があったってもんだ。

「おう、厨房を借りて俺が作ったんだ。材料がちょっと偏ってるけど、腕によりをかけたんだぞ」

「ああ、まさかこんなところでシロウのご飯が食べれるとは……」

感涙に咽るセイバーさん。涙ながらにがっつきだした。料理人としては非常に嬉しい事なんだが、なんと言うか……食いしん坊万歳?




食事を終え、更に落ち着きを取り戻したセイバーを前に、遠坂の説明が始まった。

「さて、じゃさっきの状況分析から始めましょ。まずセイバー、貴女から」

「ペリノア王が現れるまでは、特に変わったところはありませんでした」

セイバーは淡々と語り始めた。俺たちは黙って先を促す。

「ただ、彼を見た瞬間に心が凍ってしまった。その後は促されるままに王と剣を合わせ、魔力を奪われてしまった」

唇を噛み悔しそうなセイバー。あのセイバーが、何も出来なかったことに業の深さを感じる。セイバーが狙い撃ちされたようなものだからな。「たった一つの不義」だって言っていたし。

「それで、あの剣なんだけど。本物?」

遠坂がセイバーと俺の両方に聞く。

「恐らく本物かと」

こっちはセイバー。凄く口惜しそうだ。

「本物だと思うぞ、金ぴか野郎の宝具が本物なくらい本物だった」

これは俺。剣のことなら間違いない。実物を直接見たわけではないが、あれは間違いなくセイバーの夢の中で見た剣だった。

「ってことは核は『選定の剣カリバーン』かぁ……」

遠坂が苦虫を噛み潰したような顔になる。セイバーがあそこに穏やかならぬ感情を持っている上に、相手に『選定の剣カリバーン』があるなんて、確かに大問題だ。

「私の魔力が奪われたのもその為かと、カリバーンなら私にパスが通っていてもおかしくありません」

これまた難しい顔のセイバー。パスから魔力を抜かれたんじゃエクスカリバーだって使えない。

「そうね、だからセイバーは明日の晩までここで大人しく寝てなさい」

なんでもないことのように遠坂さんはさらりと仰った。相変わらず、一切の斟酌を許さない容赦のなさだ。

「凛、それはどういう意味ですか?」

セイバーがむっとして聞き返す。

「言葉どおりよ。明日の昼間わたしたちがあの城に行って対策講じるから、セイバーはお留守番で寝てなさい」

何でこんな当たり前の事聞くの? とばかりの遠坂さん。いや、俺も遠坂の言うとおりだと思うが、その言い方じゃセイバー絶対に聞かないぞ。

「それは困る、私には凛やシロウを守る義務がある」

ほら。

「はん、今はわたしより弱っちい癖に何言ってるの? だいいち魔力が空っぽでしょうが」

「そ、それは凛が供給を絞っているからで、廻してくれたなら……」

「やなこった」

うわぁむべもない。

「凛、それはあんまりだ」

「あんまりだもくそも無いの。魔力なんかあげたら、セイバーは対策もなしに飛び込んじゃうでしょ、そしたらさっきの二の舞よ? そんな無駄な魔力一滴だって分けてあげない。対策立つまで魔力の消耗抑えながら大人しく寝てれば良いの」

がぁ――っとばかりに捲くし立てて、遠坂さんはセイバーを睨みつける。
遠坂、言いたい事はよっくわかるんだが、ほら、セイバーって無駄に意地っ張りで負けず嫌い、その上ちょっと駄々っ子だろ? そんな言い方だと絶対へそ曲げるぞ。

「ならばこの身で行くまでです、今の状態でも盾くらいにはなれる」

むぅとした顔で遠坂を睨み返すセイバー。ほら、へそ曲げた。
こうなるとなぁ、遠坂も絶対に引かないぞ……

「ふっ、今のセイバーじゃ盾にもならないわよ、その死にたがり如何にかしてくれないとこっちが困るのよ!」

ぐぐっと二人にらみ合う。どっちもどっちだが、どっちも決して引かない性格だ。
はぁっと天を仰いで溜息をつくと、ランスの奴と目が合った。うっ……

マスターよ、どうするつもりだ? 

奴が視線で問いかける。どうするって……

マスターよ、マスター以外で誰がこの事態を収拾できる?

畳み掛けてくる。だって怖いし……

情けない、それでもマスターは男か? それほど泥にまみれるが怖いか?

むっ、そこまで言うか? よしわかった、俺がなんとかする。

それでこそだ、マスターよ騎士道とは華ばかりではない、愛のため義の為に泥にまみれるもまた騎士道。

ランスが誇らしげに一声鳴いて俺を急かす。俺は立ち上がり、セイバーと遠坂の肩にそれぞれ手を置いた。

「なによ?」
「なんの用ですか、シロウ?」

二人揃って音が出るほど睨みつけてくる。思いっきり気圧される。が、ここまで来て引けない。先ずはセイバーからだ。

「セイバー、俺たちを信用してくれないのか?」

じっと見つめる、視線は逸らさない。逸らしたら負けだし。よし、セイバーが先に逸らせた。

「そのような訳ではないのですが……」

「だったら信じてくれ、絶対に対策を立ててやる。そしたらその時こそセイバーの出番だ、きっちり片をつけてくれ」

ぐっと力を込めてもう一見詰めする。

「わかりました。シロウがそういうのなら、その時まで力を溜めておきましょう」

頬を少し染めて頷いてくれた。さて、次は遠坂だ。

「ほら、セイバーは納得してくれたぞ。遠坂だって最後の時の為に、セイバーに大事をとって欲しいんだろ?」

「そういう事なんだけどさ、やけにセイバーに優しいじゃない」

あれ? なんか不機嫌の方向性が違ってきているような……

「は? えっと、だって遠坂の言い方きつかったし」

「ふん、どうせわたしはきつい女ですよ」

まいったな、どうやら仕挫じったようだ。拗ねられてしまった。しかたない、セイバーに視線でごめんと言ってから、遠坂の両肩に手を置いて、じっと見詰めた。

「――遠坂」

なんのかんの言って、遠坂は拗ねようごねようが、きちんと判っている奴だ。こうして正面から向かい合えば、判ってくれるはずだ。……多分。

「うっ、わかってるわよ。しょうがないじゃない……」

よし、何とか誤魔化せた。これで話が進められる。

「シロウは凛に甘い」

今度はセイバーさんが溜息をつかれた。なんなんだよぉ。




なんとかセイバーを寝かしつけて、俺は遠坂と明日の行動の相談をした。ランスには、セイバーが起きだしておかしな事をしないように見張りを頼んである。

「それで、どんな段取りで行くんだ?」

「もう、士郎も少しは考えてよね」

遠坂が口を尖らせて文句を言う。いや、そうなんだけど、頭脳労働になれてなくて。

「ま、しかたないわね。とりあえず昼間は大丈夫かどうかの確認。事前情報だと昼間は出ないって事だけど、当てにならないから」

うむ、確かに。今度のことも事前情報では全く分からなかったしな。

「それで、どっちにしろあの城の周りに人払いの結界組むわ。一般人があんなのに出遭ったら問題でしょ?」

「あ、そうだな。今までのただの幽霊なら害はないけど、あの犬なんかにあったら普通の人は助からないもんな」

「後は出来る限りの情報収集。それで取っ掛かりがつかめなかったら、セイバーには悪いけど協会に戻るしかないわね」

遠坂が苦い顔で言う。だがそれは避けたい。俺の『固有結界』の問題もあるし、下手をすると検証と称してセイバーを持っていかれかねない。俺達にとって協会に借りを作るのは出来るだけ避けなければならない事項だ。

「何か当ては無いのかな?」

藁にもすがる気持ちで遠坂に聞いてみる。セイバーを封じられたってのは大変痛い。

「ちょっと気になることはあるわ。でも確証が無いの。明日調べてもっと手がかりを得ないと」

腕組みして難しい顔の遠坂。でもなにか取っ掛かりは掴んでいるようだ。

「よし、俺に手助けできることがあったら何でも言ってくれ、目いっぱい働くぞ」

俺に出来ることはこんなことくらいだ。情けない話だが、こういう謎解きじみたことは得意ではない。

「とにかく明日よ、今日はゆっくり休んで疲労と魔力回復しないと」

遠坂はそう言うとベットにもぐり込んだ。そうだな、ともかく今日は疲れを取ろう。俺も遠坂の横で眠りについた。




「腹立つわね……」
「――Cow……」

腕を組み胸を張る遠坂と、大空で弧を描くランスの声が重なる。どっちも不満そうだ。
たしかにそうだろうな。
ここは昨夜の古城跡。あれほどの魔力が渦巻いていたここは、昼間来てみればお日様に照らされて、家族連れがピクニックでもしてそうなほどのどかな風景だ。

「欠片もないな」

俺はかえって感心してしまった。清々しい位の落差だ。

「ともかくわたしは人払いの結界組むから、士郎とランスは中に入って探ってなさい。おかしな物があっても触らないでわたしを待つ。いいわね」

「おう、任せろ」
「――Caw」

俺たちは元気に返事をして中に入っていった。俺が地べたから、ランスが空から古城の核を探る。
しばらくして古城の周囲で一瞬魔力が煌き、結界の天蓋が形成された。

「どう? 何か見つかった?」

「いや、今のところ何もないぞ。昨日俺が削った城壁とかはそのままだから、あれが夢や幻覚でないって事だけは確かだけどな」

ランスも俺も、未だこの古城跡から何も引き出せていない。遠坂が眉間にしわを寄せる。

「『選定の剣カリバーン』は? まんまってことはないだろうけど核として使ったのなら、破片とか残骸とかはあるはず。剣なんだし一級の宝具でもあるんだから、残滓くらい残ってるはずよ」

遠坂の言葉どおりあの剣なら俺にはわかる。たとえ錆に覆われていようが真っ二つに折られていようがわかる筈だ。

「よし、剣に意識を絞って探ってみる」

ランスにも指示を飛ばす。上と下で同時に探索の針を伸ばすわけだ。遠坂も魔力感知に絞って探っているらしい。

「――Crow!――」

ランスが一声叫んだ。同時に半ば崩れた本丸跡に飛び込んでいく。

「士郎!?」

「ああ、感じるぞ」

ランスの進行方向に意識を飛ばすとそこに紛れもなく“剣”を感じた。遠坂も微弱ながら魔力を掴んだという。俺たちはランスが飛び込んだ本丸跡に歩を進めた。

「士郎、あれって……」

「ああ、あれは」

階段を上り切った所。元は大広間だろうか? 天井は落ち、野晒しになった石畳の広いフロア。
そこの中央に剣が突き立っていた。柄にはランスが止まり、俺たちを見つめている。
だが、残念ながらその剣は『選定の剣カリバーン』ではなかった。俺が鍛ち直しセイバーに渡した剣『剣鍛の剣ノイエカリバー』だ。

「ちょっとがっかりね」

遠坂が露骨に残念賞の顔をする。むっ、良いじゃないかこいつだって捨てたもんじゃないんだぞ。セイバーだって気に入ってたし、見つかったって聞けば喜んでくれるだろう。

「ランス、お手柄だぞ」

俺はそうランスに告げて剣を抜こうとした。あれ? 抜けない?

「どうしたの士郎?」

「いや、抜けないんだ? おかしいな、どっか引っかかってるのかな?」

今度は両手で柄を掴んで思いっきり引っ張ってみる。駄目だ、やっぱり抜けない。

「ちょっと見せて」

遠坂が近づいて来て、回りの石畳を調べる。続いて剣を詳細に見ている。

「遠坂、どうなんだ?」

「参ったわね、昨日『選定の剣カリバーン』と打ち合ったときになんか類感しちゃったみたい。多分セイバー以外には抜けないわよ、これ」

あ、なるほど。元々は『選定の剣カリバーン』を模して鍛たれた剣だ。本物と接触して本物の性質の一部が移っちまったわけだ。それじゃ、俺や遠坂では抜けないのも道理だ。

「セイバーに抜いてもらうしかないか、じゃ日のあるうちにセイバー呼んできて抜かせよう。今の状況からして昼間なら問題ないんだろ?」

よし、一旦戻ってセイバーを……あれ? 遠坂の奴ますます難しい顔になって眉を顰めている。おいおい、そんな顔ばかりしてると皺になるぞ。

「セイバー抜いてくれるかな?」

難しい顔のまま遠坂が心配そうに呟いた。
あ、そうか……

「そういえば、ミーナさんとこでも凄く悩んでたし。結局、自分では抜かなかったんだよなセイバー」

「そうなのよね、なにか言えない悩みがあるんだろうけど……」

そういって遠坂はじっと『剣鍛の剣ノイエカリバー』を見つめていた。
と、いきなりぽかんとした顔になる。続いてまた眉間に皺を寄せ、更に明後日の方向を睨みつける。

「ってことはなに? ……そういえば…… じゃあ!……うん、確か……」

ブツブツと呟きも始まった。遠坂が自分の世界に入っていったときの百面相だ。実に面白いんだが、一段落着くまでは戻ってこない。

「士郎、戻るわよ。今晩けりをつけるわ」

いきなり顔を上げ、厳しい表情ですたすたと戻ろうとする遠坂さん。おいおい。

「ちょ、ちょっと待て。全然状況がつかめないぞ。あ、ランスお前も……」

「――Caw――」

ランスは一声鳴くだけで、剣の柄から動こうとしない。

「お前までどうしたんだ?」

ランスはただじっと俺を見るだけだ。

「なにやってんのよ。もう用はないんだから帰るの」

遠坂が動かない俺たちにじれて戻ってきた。


わたしは剣を守り王を待つ。


「――え?」

明確で粛然な意思が流れ込んできた。

「どうしたの? 士郎」

ぽかんとした俺に、遠坂が不審そうに尋ねてくる。俺は今ひとつ意味がわからないながらも、ランスの言い分を説明した。

「あんた……」

遠坂は一瞬唖然とした後、ものすごい顔でランスを睨みつける。

「ふん、そゆわけ。わかった。勝手になさい」

遠坂は再びとっとと戻りだした。

「おい、遠坂」

「良いのよ。待ちたいって言うんだから待たせてやりましょ。どうせ夜にはセイバー連れてくるんだから、問題ないでしょ」

これだから騎士なんていう奴は、などとブツブツ言いながらさっさと去っていく遠坂さん。

「ランス……」

俺はランスを見据えた。どういう事なんだ? 
だがランスは応えない。一つ頷いて遠坂に続くことを促すだけだ。俺はランスと遠坂の背中を交互に見つめた後、決断した。ランスの性根は決して半端なもんじゃない。遠坂だって明確な理由なしに行動するような奴じゃない。だったらこの二人の決意を尊重すべきだろう。今はわからないが、おいおい俺にも理由はわかる筈だ。

「それじゃ、ランス。ここは任せたぞ」

「――Craw!」

ランスの応えは十分満足出来るものだった。おれは遠坂を追って城を後にした。




結局、夜の再出発まで遠坂は詳しい説明はしてくれなかった。言葉で言うには微妙すぎる事なのだそうだ。ただ、とんでもない荒療治なので覚悟をしておけとだけ告げられた。

「それじゃ行きましょう。セイバー準備は良い?」

「はい、もう大丈夫です」

セイバーに再び魔力が満たされた。勿論、満タンというわけには行かない、現状の遠坂の魔力の半分をセイバーに渡した形だ。

「しっかり気を引きしめてといてよね。そうすれば、今度は簡単に魔力持っていかれたりしない筈だから」

遠坂が自信ありげに告げる。本当にそんな簡単なことで大丈夫なんだろうか?

「わかりました。あのような事、二度はありません」

セイバーもしっかり応える。俺は遠坂とセイバーの顔を交互に見た。うん、大丈夫。二人ともしっかりと自分を保っている。どんな荒療治かしらないが、二人を信じて俺も一緒に進もう。


三度訪れた夜の古城はやはり異界だった。それも最初に入った泡沫うたかたの異界でなく。俺たちが逃げ帰った現世を犯せる異界だ。

「いくわよ」

決意を込めた表情で遠坂を先頭に俺たちは本丸跡に進む。
今のところ幽鬼も猟犬も姿を現さない。だが、本丸からは俺でさえ感じ取れるほどの幽気が放たれている。

「セイバー、魔力は大丈夫なのか?」

本丸の入口で、俺は一番の心配事を聞いてみた。

「微かに漏れている感触はあります。でも大丈夫。この程度なら後れはとりません」

「それでもやっぱり漏れてはいるのね……」

セイバーのしっかりした声に遠坂の厳しい声が重なる。

「凛……」

「セイバーここから先は貴女一人で向かいなさい」

え?

「なに言ってるんだ、俺たち皆で行けば良いじゃないか!」

「良いのですシロウ。確かに、これは私だけで決着をつけるべき問題です」

「セイバー、判っているとは思うけどエクスカリバーは使っちゃ駄目だからね」

「無論です、今の魔力では……「やっぱり判ってないわね」」

セイバーの応えを、冷酷なほどの遠坂の声がさえぎる。

「そんな問題じゃないわ。魔力なら一発くらい撃てる量は確保してある。でも違うでしょ? セイバー。貴女まだ気がついてないの? ペリノア王を蘇らせたのは貴女なのよ」

「遠坂?」

お前いきなりなにを言い出すんだ。

「判らないなら教えてあげる。セイバー言ってたわね、ペリノア王を不義の戦で殺したって。それよ、その後悔と罪の意識があいつを生み出した。
ここの幽霊はね二年ちょっと前から現れたの、セイバーが聖杯戦争で顕現した時から、活性化したのは八ヶ月前、セイバーが倫敦に来たときから、そして『選定の剣カリバーン』までもちだして完全に実体化したのはセイバー、貴女がここに足を踏み入れた瞬間。違う?」

遠坂はセイバーを見据え叱咤するように言葉を続けた。

「『選定の剣カリバーン』が本物だってのも当たり前。だってセイバーの心の中からセイバーの魔力で作られたんだもの。あいつがそれを持ってるのだってセイバーの罪の意識。
この戦いが理由で折られた王剣。セイバーを追い詰めるのにこれ以上ふさわしい武器はない。だってセイバーが一番追い詰められたがってるんだもの、当然そいつを引っ張り出すわ」

「凛……」

セイバーが震えるような声で呟いた。いつもよりずっと小さく見える、そう年相応の少女のようだ。

「パスが通ってるのも当然よね、セイバーの罪の意識だもの。あの犬が無限に湧いてくるわけだって同じ、セイバーが迷う限りいくらでもセイバー、貴女が生み出す」

責めるわけでもなく、ただ類推された事実を語るだけ。だが、その事実こそがセイバーの胸に次々と突き刺さる。

「あいつを呼び出した魔術師も魔具もどこにもない。見つかるわけがない、その両方がセイバー、貴女なんだから。だから決着をつけるのもセイバー一人だけ。セイバーさえ心に決めれば簡単に決着はつくはず。だって全部セイバーの迷いが生んだんだもの。決断さえ下せば、ここの怪異は綺麗になくなるわ。罪の意識で殺されるにしろ、かつての正義を貫いてあいつを倒すにしろ、それで終わりよ」

「――遠坂!」

無責任ともいえるほどの冷たい科白だ。いくらなんでも追い詰めすぎだろう!

「士郎は黙ってて。わかった? セイバー」

俯き、唇をかみ締めるセイバー。それは王ではなく騎士でもなく、まるで罪人のようだった。
それでもセイバーは頭を上げ、気丈にも遠坂に応えた。

「はい、判りました。凛」

「じゃ、行ってらっしゃい。」

遠坂は厳しい顔のままセイバーに命じた。と、一転してとても優しい笑顔になってセイバーを抱きしめる。

「でも忘れないでね、セイバー。貴女はわたし達の最愛の姉、可愛い妹、そして一番大切な友達。誰が敵になってもわたし達はあなたの味方。それだけは忘れないで」

「……はい」

遠坂の腕の中でセイバーが小さく応えた。小さくはあってもはっきりと強い声音だ。

「セイバー。言いたいことは遠坂が全部言っちゃったから、何も言うことはないけど。俺はセイバーを信じてる」

「凛、シロウ……はい、いってきます」

セイバーは俺たちに一つ頷くと、一人階段を上って行った。




「さてと、そろそろお客さんが到着する頃ね」

バックからありったけの魔弾ほうせきを取り出す遠坂さん。

「なんだ、セイバーのせいって言ったって、結局こいつら居るんだな」

俺は両手に干将・莫耶を投影する。

「そりゃそうよ、元の魔力はセイバーでも、その行き先のこいつらが、恨みを呑んで死んだってのは本当だもの、怨霊なんて理由を問わず生きた人間が憎いのよ」

本丸はすでに赤い目をした猟犬に囲まれていた。

「こいつらやっぱりきりが無いさそうね。士郎、最悪 朝まで粘るつもりで頑張りなさい」

「なんでさ? セイバーに任せたんだろ?」

「だからよ。あの娘、他人がかかわってると決断早いくせに、自分だけのことだとぐちゃぐちゃに悩むんだから」

「おい、じゃさっきの…」

「まぁね、こっちのこと思いつかないくらい追い詰めてやったから。今頃、頭の中ぐちゃぐちゃよ」

けらけらと小気味よさそうに笑う遠坂さん。お前やっぱりとんでもないよ。セイバー突き放すようなこと言っておいて、ちゃんと背中押してやってるじゃないか。セイバーの性格から、俺たちのことを気にかけた状態なら、悩む事を諦めて相手を切り倒して終わるだろう。
だが、遠坂はセイバーにとことん悩む事を強いた。後悔の無いよう、今度こそしっかりと悩んでしっかりと決断する事を望んだ。たとえ自分がえらい苦労をしようとも、もしかしてここで死んで本末転倒なことになろうとも、セイバーが悔いの無い決断を下せる環境を作る事を選んだ。

まったく、遠坂家の呪いってのはここ一番でポカをすることだって言ってたけど、もう一つとんでもない呪いがあるじゃないか。
これがそうだ、ここ一番生きるか死ぬかの局面でどうしようのなく甘ちゃんになってしまう。こいつこそが遠坂という魔術師に掛かった最悪の呪い。自発的なだけに決して直しようの無い呪いだ。

ああ、まったく

「遠坂」

「ん? なに?」

「俺は遠坂に惚れて本当に良かったぞ」

「……馬鹿!」

こんな状況でも真っ赤になって照れ怒る遠坂が、俺はどうしようもなく愛しかった。

「――――Anfangセット!」

――― 漸! ―――

猟犬たちが襲い掛かってくる。俺たちの戦いが始まった。

セイバー、お前も頑張れよ。






駆け上がった先の石畳の大広間、崩れた天井から満月の明かりに照らされ幽鬼が待っていた。

中央に『剣鍛の剣ノイエカリバー』 ランスがまるで裁定者のように止まっている。

「……ペリノア王」

セイバーの声に促されるように幽鬼は王剣カリバーンを掲げる。

「――くっ」

ペリノア王の落ち窪んだ眼窩の奥から、怨嗟と憎悪が襲い掛かってくる。
今度こそはっきりと判った。間違いない、彼を産んだのは自分だ。
いや、彼だけでない。彼の後ろには、ブリトンの平和という大儀の為に踏みにじってきた全ての者達が居る。あの眼窩の奥から、全ての生贄達がセイバーを責めている。

一歩後ずさる。耐えられない……

かつての自分なら耐えられた。なにを言われてもどんなに恨まれても、ブリトンの平和という大儀の為に心を鬼にして、アルトリアの心を殺して耐えられた。
だが、滅びという結果を知ってしまった今……王となったことすら間違いでなかったかと疑っている今は……耐えられない。

視線が下がる、ペリノア王の眼窩から逸らされたセイバーの視線が、ランスの厳粛な視線と合わさる。


ああ……

彼だったら……彼ならば悩まなかったろう。いや、彼こそが王剣カリバーンを抜くべきだったのだ。
あの滅びの道を進みながら何度思ったろう。彼ならば女の身で王である矛盾は存在しなかった。彼ならば王妃を幸せに出来た。彼ならば決して負けなかった。彼は常に完璧だった、不敗だった。
彼ならば私より良い王となっていたろう。彼ならば滅びの道を歩まなかったろう。彼ならば……正しく間違えられたのだろう。

「そうなのですね……ラーンスロット……」

セイバーの両手が降りる、ならば……自分に王剣ノイエカリバーは抜けない……それは正しいことではない。

ランスはセイバーを真っ直ぐ見据え、応えるように翼を広げた。







「――つっ!」

いきなり頭に視覚が割り込んできた。

「士郎!」

「ああ、大丈夫だ」

俺はそれでも両刀を振るい、猟犬を退ける。
視覚にはセイバーが写っている。唇を噛み俯くセイバー。
セイバーの思いも流れ込んでくる、一方的な後悔と懺悔。罪を悔い、罰を受けることを請う。
そして恨みを呑んで死んだもの達に命をささげるかのように、セイバーの両手が下ろされた。

ちょっと待て! ちがうだろ? セイバー

犠牲にした事への贖罪は、殺されることなんかじゃない。
死者の恨みに報いるために死ぬなんて間違っている。
そんな事をしたら犠牲になった奴らの死が無駄になる。セイバーと共に戦った連中の死だって無駄になってしまう。

その決断は正しいが間違っている。間違った正しさだ。
そんな決断しちゃいけない。結局全てが無駄だったなんて決めつけちゃいけない。
セイバー! それは駄目だ!

だってのに、畜生……俺にはどうすることも出来ない……





なにをしている!


その時、心の中で声が響いた。


今こそ王を導くのだ。わたしはこの時のために汝の召喚に応じたのだぞ


あいつの声だ。あいつの叱咤が俺に飛ぶ。


何のためにわたしを呼んだ。何のためにわたしはここにいる!

――まさにこのような時の為であろうが



あいつめ……前からとんでもない奴だと思っていたが、やっぱりとんでもない奴だった。遠坂の言うとおりだ、騎士なんて名前のつく奴は皆、禄でもない連中だ。


道は示した。エミヤシロウ、付いて来い。


ふざけやがって、偉そうに。なにが付いて来いだ。お前のほうこそ付いて来やがれ。
遠慮はしないぞ。お前がその名に相応しいなら、これから流す俺の魔力、一滴たりとも漏らすんじゃねぇぞ。
いいか、いくぞ! ラーンスロット・・・・・・・


「遠坂、すまない五分、いや三分だけ一人で時間を稼いでくれないか?」

「判った、三分で良いのね」

皆まで言わず遠坂は応えてくれる。なんとも頼もしい。これでこそ俺の愛する遠坂凛様だ。

その応えに安心して、俺は両手の干将・莫耶を地に落とす。悪いがこれからやることに、こいつ等を保ったままでは心もとない。全力上げてセイバーに届ける。

俺たちの剣を。




――剣鍛開始トレース・オン

二十七の鉄槌が起き上がる

今度の鍛床は俺の回路じゃない、パスの向こうのランスの身体だ。

全身の回路が溢れ逆流するほどの魔力を流し込む、二十七度流し込む。

そして鍛つ。二十七度剣を鍛つ。

二十七度の鉄槌を、あいつは満身で受け止める。

かつては無敵の騎士であったとしても、今のあいつはただの鴉。

それでも必死で受け止め、二十七度の鍛打を剣に伝える。

二十七度繰り返す。俺とあいつの剣鍛の業。



俺とあいつの思いが交錯する。

――I am the bone of my sword.体は 剣で 出来ている

一度も笑顔を浮かべぬ白皙の王と彼女を見つめる騎士。

――Steel is my body血潮は 鉄で,and fire is my blood.心は 硝子

その健気さに結局、最後まで間違った正しさを正せなかった騎士。

――I have created over a thousand blades.幾たびの 戦場を越えて 不敗

完璧の騎士、不敗の騎士、だがそれは呪い。

――Unaware of lossただ一度の 敗走はなく

その完璧さゆえに王と戦ってしまった騎士。

――Nor aware of gain.ただ一度の 勝利もなし

そして今でさえ、その生き様ゆえに彼女を間違った正しさに導きかねなかった騎士。




もうお互いぼろぼろだ、元々剣鍛は無茶な技、それを使い魔のパスでやろうって言うのだ。
俺の内臓は溢れる魔力で傷だらけ、あいつの羽も半ば以上黒焦げだ。

蒼と金の剣はついに『選定の剣カリバーン』まで辿り着いた。

だがこれで終わりじゃない、このままではセイバーに届かない。
まだだ、まだこの先に、この向こうにまで進まなくてはならない。
そこにこそ、俺たちの思いがあるのだから。

血を吐き焼け焦げながら、俺達はそれでも更に剣鍛を続ける。



――Withstood pain to create many weapons無限なる剣製の 果て.

騎士よ。今こそ、お前の守れなかった誓いを果たさせてやる。お前の気持ちは俺がセイバーに伝えてやる。

――waiting for one's arrivalただ一人の 担い手を 待つ

セイバーが今度こそ正しく間違えられるよう、俺が剣を鍛ってやる。



鍛つ。

鍛つ。

鍛つ。

鍛つ。

…………

……

そして、ついに剣は鍛え上げられた。

神秘と精霊の力ではなく、人の思いと人の手で鍛え上げられた剣。

金と蒼と紅に彩られた『鍛え直されし王道の剣EX・カリバーン

俺とあいつは莞爾と笑いあった。よくぞ保った完璧の騎士。
よくぞ鍛ち切ったエミヤ。

さぁ、セイバー受け取れ。これがお前の剣だ。俺たちのおもいだ。






翼を広げたランスがいきなり光り輝きだす、燃え上がる。
それに従い剣が形を変える。セイバーは目を見張る。シロウがランスが自分の為に剣を鍛ってくれている。

心を込め、魂を込め、思いを込めて剣を鍛ってくれている。

一瞬最大の閃光。その光が消えたとき、そこには鍛え上げられた剣が一振り。

金と蒼と紅に彩られた『鍛え直されし王道の剣EX・カリバーン


王よ、これがわたし)とかの少年マスターの貴女への諌言だ。今こそ正しく間違われよ。


鴉は高らかにそう告げると剣の柄から離れ地に落ちた。

ああ、

自分はあの聖杯戦争の時、あの少年になにを見てきたというのだ。
あの赤い騎士になにを見てきたというのだ。

私はまた間違えてしまうところだった。

それを人ならぬ身で力を尽くし崩折れた、かの騎士が教えてくれた。
また、あの少年に教えてもらった。

この剣が伝えたものはセイバーの考えていた事と違うものだった。
シロウの思いも凛の思いもそしてかの騎士の思いも、セイバーの考え違いだった。
叱咤された。激励された。諌められた。そして伝えられた。

ならば今度は自分の番だ。その思いに応えよう。

有難う。シロウ、凛、サー・ラーンスロット。私は今こそ正しく間違えよう。

「待たせたなペリノア王よ。私は私の意志で責務を果たす」

王は再び『王者の剣おうさまのけん』を引き抜いた。





「――――Der Riese und brennt火炎 流星,EileSalve一斉射撃――」


遠坂の魔弾が炸裂する。何度目だろう? 今度も猟犬は吹き飛ぶ。だが尽きない、再び闇から……

「あれ?」

……現れない。残った猟犬達もあとずさり、尾を垂れる。そしてそのまま闇に溶け込むように消えていく。

「遠坂、終わったよ」

俺は血反吐を吐きながらへたり込んだ。それでも晴れがましい気持ちだ。セイバーに思いは伝えた。だとすれば答えは明らかだ。セイバーは正しい答えを出すだろう。

「終わった、そっかセイバー応えたんだね……って! あんたなにやってたの!」

ようやく俺の状況に気がついたか、遠坂が血相変えて俺に駆け寄る。

「ちょっと、投影はもう大丈夫だったんじゃないの? 剣鍛だってこないだはなんともなかったじゃないの!」

泣きそうな顔で俺を抱き上げてくれる。そんな顔でも遠坂は綺麗で可愛らしかった。でも痛いぞ、もっとそっと掴んでくれ、それじゃ抓られてるのと変わらないじゃないか。

「いやあ、ランス通して無茶したからなぁ」

俺は苦しい息ながらも笑いながら遠坂に応えた。

「馬鹿!やっぱり無理してるじゃない!」

「無理じゃないぞ、無茶だ」

「何処が違うってのよ!!」

「無理は苦しんでするんだ、無茶は愉しんでするんだぞ」

無言で遠坂に殴られた。思いっきり殴られた。でもやっぱり笑える。晴れがましい。俺たちはまた一歩前進できた。そう実感していた。

「シロウ、凛。どうしたのですか?」

セイバーが戻ってきた。手には『剣鍛の剣ノイエカリバー』、やっぱり元に戻ってしまっている。いや、ちょっと変わってるか、紅い石が加わり、さらに『選定の剣カリバーン』に『王者の剣EX・カリバーン』に近づいている。うん、やっぱり一歩前進だ。

「セイバー、終わったの?」

拳を傷めたのか、手に息を吹きかけながら遠坂が尋ねた。そこまで力いっぱい殴ったんですね。

「はい」

セイバーが笑った。凄く綺麗で澄んだ笑顔だった。王様でなく女王様のような笑顔だった。






その後、俺たちは無事倫敦に帰ることが出来た。ちなみに、あの城の幽霊騒ぎはもう二度と起こらなかった。
後はいつもの日常。なにが変わったわけでもない。
遠坂が勝手にローンを組んだり、それをセイバーが怒ったり。ルヴィアさんと遠坂が喧嘩したり。
ミーナさんが取り立てに来たり。ジュリオがセイバーを口説こうとしてのされたり。いつもの倫敦の日々だ。

あの場所で、セイバーがどんな気持ちでどんな決断を下したかは俺には判らない。
セイバーは俺たちのおかげだと、礼を言うだけだ。
変わったことといえば……ああ、空を見上げる回数がふえたかな。




え? あいつはどうしたかって? ああ、あいつなら……





「ラーンスロット。そのケーキは私が特に頼んでシュフラン殿から頂き、午後のおやつにと取っておいた品。それを食べてしまうなどとは……ああ、貴方はいつもいつも肝心なところで私を裏切る!!」

「――Crow!――」


「ランス! あんた、また私の宝石巣箱にもってったでしょ! 返しなさい! あれ大師父の宝石なんだから!」

「――Crow!――」


まだ家に居るのです。


END


王様と騎士と赤いあくまと正義の味方の物語。
ラーンスロットの設定は以前お話したとおり、伝説そのものより映画「エクスカリバー(81)」より取っています。
アーサー王に勝てる騎士は二人要らない。そう思いましたので。
ランスくんの正体は前半かなりヒント出してましたので判る人は判ったでしょう。
実際、本当にランスくんがかの騎士そのものであるかどうかは秘密です。(笑)
ともかく、王様は再び剣を抜きました。また一歩彼らは前に進みました。

By dain

2004/4/14

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