「―――ふぅ……」

俺は一つ大きく伸びをした。
細かい作業だった。集中するために手元にだけ明かりをつけ、鍛えられた鋼に金と銀の台座を嵌め込む。
無論、こいつはただの彫金ではない。
金と銀の台座は、それぞれふさわしい時間に、ふさわしい場所で据えられねばならない。これは儀式だ。一つの作品を、ただの工芸品から魔具に鍛え上げるための魔術儀式フォーマルクラフト

「次はこいつか……」

作業台の上には固定された鋼、嵌め込まれた台座。そして小さな皮袋。
俺は皮袋を開き、小さな石を取り出す。慎重に丁寧に、傷つけぬよう汚さぬよう、ゆっくりと台座に乗せる。

銀には紅い石、金には碧い石。

かつて一つだったこの石は、二つに割られ力を失った。
だが、何もかもが終わったわけじゃない。俺はこいつらから死んだ呪刻を削り落とし、無垢の部分だけを掬い取って、この小さな二つの石に磨きなおした。司書のお姉さんたちのおかげだ。俺だけではここまで綺麗に磨けなかったろう。

「えらく無駄なことをするって、言われそうだな」

確かに無駄なことだ、こんな事をするくらいなら、新しい石を買ってきたほうが、遥かに手間も時間も掛からない。
だが、一つの源から発し、真逆に分かれたこの二つの石が、あいつらにはえらく似合っている。俺にはそう思えたのだ。

「――さて」

俺は儀式の仕上げをすべく精神を集中する。

「――――同調開始トレース・オン

己を魔力で満たし、俺は台座に呪刻を刻む。鍛えられた鋼は俺の身体、台座の貴金に呪刻を刻み、二つの石に結びつける。

これは俺からあいつらへの贈り物。石に魔力を込めるなんてことは俺には出来ないが、俺の気持ちで石を繋ぐ事くらいは出来る。

だから俺は愛情と感謝を台座に込める。鋼の本体に、この思いで石を繋ぐ。
最後の仕上げはあいつら任せだ。どちらが受け取るにせよ、あいつらならこの石を自分なりに仕上げてくれるだろう。

俺がしていることは、どうかそれが上手く行きますように、と願いを込めているだけだ。

それと、そうだな。


お前ら仲良くしろよ……





ぎんのおに
「白銀の戦鬼」  −Wilhelmina− 第二話 後編
Legion





「へえ、これが問題の石ですか」

士郎くんが私の元へやってきたのは、数日前の事だった。小さな皮袋を手に、恐る恐るこっそりと私の工房を訪ねた姿は、大きな身体に似合わずとても可愛らしいものだった。

「ああ、ルヴィアさんがもう要らないって言うから貰ったんだ」

紅と碧、今はただのクリソベルリに変わってしまったこの石だけど、元々は唯一つのアレキサンドライト・キャッツアイだったと言う。なんでも複雑な実験の結果、この形に割れてしまったと言う事だ。

「それで、その……」

士郎くんがちょっと言いにくそうに話を続ける。はいはい、分かってますよ。

「作業場を借りたいと言うわけですね?」

「あ、うん。そうなんだ。うちや学院じゃちょっと拙いからなぁ」

この石を加工する目的を考えれば、確かに士郎くんのお家や学院では拙いだろう。あのお二人は、なんのかの言って結構に目ざといところがある。

「分かりました。じゃ、ここより本工房の方が良いですね。ちょうど今、使ってない施設があるんです。そこをお貸ししましょう」

本当にちょうど良い。これで準備を進められる。

「助かった、有難うミーナさん。最後の仕上げで二日ほど篭ることになっちゃうけど。いいかな?」

「はい、ぜんぜん問題ありませんよ」

こちらこそ。問題ないどころか好都合ですから。士郎くん、ご協力有難うございますね。


私はモニターの前で数日前の出来事に思いをはせた。おかげでここまでは計画通り。あのお二人は激昂して迷宮に飛び込み、士郎くんは何も知らずに工房で作業に没頭している。
あとは王子様たちが、悪い魔法使いに捕まったお姫様を助け出せるかどうかだけ。
もし辿り着けなかったら……その時は士郎くんの贈り物、私共で貰っちゃいましょうね。

「頑張ってくださいね」

私はモニターの中で苦戦苦闘する三人に向かって、ちょっと複雑なエールを送った。




「またここですの? 一体どういう構造かしら」

「左手でも右手でも駄目って、どういうこと?」

骸骨兵を意気揚々と撃破したお二方は、あれから益々ボルテージを上げられて、ずんずん、ずんずん迷宮の奥へ奥へと向かわれた。
幸いあの部屋以来、敵らしき影は見当たらない。私達は下層へ向かう階段を見つけるべく、この迷宮を探索している。……のだが。

「些か気になるところがあります。魔力は感知されていないのでしょうか?」

小一時間ほどの探索、そう広い迷宮ではないはずなのに、未だ明確な地図を作りえていない。どうしても同じ場所へ戻ってしまうのだ。

「魔力って、微弱には感じるけど、ここって迷宮でしょ?」

「あの骸骨兵でも、この壁でも、この程度の魔力は感知できますわ」

凛もルヴィアゼリッタも、眉を顰め状況を苦慮している。つまり、この迷走状態は魔術的な方法ではないと言う事だ。

「シロウがいれば即座に判断できるのですが」

言わずもがなの愚痴を言ってしまった。シロウならば、この程度の迷宮、即座に解析してのけるだろう。

「壁を壊してみます?」

「手持ちの呪じゃちょっと無理ね。セイバー、試してみてくれる?」

つまりは剣で何とかできないかと言う事だ。

「はい」

私は一呼吸おくと、剣を構え、壁に向かって一気に突きを入れる。

「……厚すぎるわね」

「残念ですが」

ざっくりと壁に突き立つ剣を前に、凛と私が嘆息する。壁に刃を入れることは出来たが、厚すぎるのだ。刀身長よりも厚い壁、突き立てることは出来ても、この厚みでは切り裂くことは出来ない。

「使い魔は使えないのですか?」

私は壁から剣を引き抜きつつ、先ほどから気になっていたことを凛に尋ねてみる。

「それが、この壁が曲者なのよ」

凛は、壁をぺしぺし叩きながら憎らしげな顔で応えてくれた。

「コントロールを乱されてしまうんですの。先ほどから透視も遠視もこれに防がれてさっぱり。使い魔も視線が通っていれば使えるんでしょうけど」

腕組みしたルヴィアゼリッタが、凛の言葉を受けて先を続ける。シロウではないが、このお二方はこのあたりのコンビネーションは絶品だ。

「分かりました。では、もう一度廻ってみましょう。なにか手がかりがあるかもしれません」

「そうね、ここで突っ立ってても仕方ないし」

凛もルヴィアゼリッタも、げんなりした様子でしぶしぶ進み始める。お二方とも、先ほどまでの元気は何処へやら、すっか気が緩んでしまわれている。

「おかしい……」

しばらく進んで私は妙なことに気がついた。

「どうしたの、セイバー?」

そんな私の様子に、お二方とも歩みを止められた。

「ここです。これは間違いなく先ほどの傷です」

壁に付いた細く小さな穴を指差した。だと言うのに迷路の状況は、先ほどとはかなり違う。私は更に確かめるために、その穴に剣を差し込んでみる。

「ぴったりですわね……」

ルヴィアゼリッタは小さく呟き、何か思いついた様子で腰を屈めて、壁と床の継ぎ目をじっくりと調べだした。

「もしかして……」

「ええ、これをご覧になって」

凛の言葉に、ルヴィアゼリッタは床と壁の境目をじっと見詰めながら応えた。そこは、明らかにこすれたような跡がある。

「機械式の移動壁ね。多分、わたしたちが動いた後にこっそり組み替えてるんだわ」

「恐ろしく凝った仕掛けですね」

凛の結論に私は呻くしかない。魔術を使わずこれほどの仕掛けを……

「何時までも先に進めないわけですわね。どう致します?」

「……使い魔を使う」

しばらく腕組みをして考え込んでいた凛が、口の端を僅かに吊り上げ不敵に笑った。先ほどは使えないと言ったはずですが……

「視線で中継しますのね。でも、一体いくつ使うお積り?」

一体なにをと些か不審げであったルヴィアゼリッタが、なるほどとばかりに手を打った。なんでも、使い魔を、角ごとに中継させることで、ラインが壁に阻まれるのを防ぐのだそうだ。ただ、ルヴィアゼリッタの言うとおり、この方法では無数の使い魔を制御しなくてはならない。

「十匹も使えば十分なはず。全部を一斉に制御するわけじゃないし」

指折り数えて確認しながら、凛はポーチからぞろぞろと小さな水晶の鼠を取り出した。

「そら、行きなさい!」

凛の一声をと共に放たれた鼠は、一塊で一斉に、先へ先へと進んでいく。

「ルヴィア、セイバー、よろしく。しばらくわたしは何も出来ないから」

そのまま床に座り込むと、凛は焦点を結ばぬまま、小刻みに視線を動かしだす。今、目の前の物を見ているわけではない、細かく使い魔の制御を切り替えながら、先へ先へと突き進ませているのだ。指がリズムを取るように宙に軌跡を描く、まるで楽団オーケストラの指揮者のようだ。

「……見つけた」

しばらくして、凛ががっきと拳を握り締めて立ち上がった。どうやら下への階段を見つけたらしい。

「お見事です」

簡単な物とはいえ、これだけの多数の使い魔を一度に制御しきるなど、半端ではない。流石は凛、並の魔術師ではない。

「それで? 道順は?」

「ふふん、角ごとに使い魔を落としてある。進む方向に頭を向けてあるから迷う心配も無いわ」

ルヴィアゼリッタの疑問にも、可愛らしい胸を張って自慢げに応える凛。しぶしぶといった顔ではあるが、ルヴィアゼリッタもそんな凛への賞賛の視線を送っている。そう、きちんと落ち着けば、このお二方にこの程度の障害は問題ではない。ヴィルヘルミナ、先ずは第一段階は突破させて頂きました。




「やりますね」

見事な使い魔の応用で、最初のフロアは突破された。しかし、先は長い。次のフロアもそう簡単には……

「あれ? ミーナさんも居たんだ」

「きゃ! あ……し、士郎くん。お仕事はもう良いんですか?」

いきなり後ろから士郎くんの声。私は慌ててモニターの電源を落として、扉の方へ振り向いた。

「一段落付いたから、お茶でもと思ったんだけど。給湯室って何処だっけ?」

いつもののんびりとした口調の士郎くん。少しばかり草臥れたつなぎ姿で、扉の影からひょっこり顔を出していた。小首を傾げ、なんだか不思議そうな顔でこちらを見ている。危ない危ない……

「いま案内しますね。でも、言ってくれればお茶くらい、私が淹れてあげましたよ」

「それくらい自分で出来るぞ。あ、ミーナさんも一緒にどう? なにか急ぎの用事があるなら別だけど」

「そうですね……」

士郎くんの申し出を少しだけ考えてみた。セイバーさんたちの歩みから考えて先はまだ長い。あと二フロアくらいなら私が見ていなくても何とかなるだろう。それに、士郎くんがこの中を余り動き回るのも、ちょっと問題ありだ。うん、直接、傍にいたほうが問題は少ないだろう。

「それじゃあ、ご馳走になります。そうそう、確か冷蔵庫にバームクーヘンがあるはずですから」

少しだけ、それくらいなら大丈夫。私はそう考えて士郎くんとお茶を楽しむことにした。




「ああ、もう。うっとおしい」

「きりが有りませんわね」

迷宮の薄暗がりの中、凛とルヴィアゼリッタが二人揃って愚痴を言う。

「これで最後!」

私は、げんなりと口を尖らすお二方をよそに、部屋の隅に追い詰めた骸骨兵を一刀両断にした。

「この部屋はね」

そんな私の様子にも、お二方はさほど感慨を浮かべず、凛などはあからさまに溜息を付いている。
だが、気持ちはわかる。このフロア、ここまでの五つ余りの部屋、扉を開けるたびぞろぞろと骸骨兵が湧き出してきたのだ。

「まだ続くみたいですわ」

凛同様にげんなりとした様子で、ルヴィアゼリッタがこの部屋の奥扉を指し示す。この部屋も今までと同じだ。あの扉を開けば、また同じことの繰り返しだろう。

「いい加減、飽きてきたわ」

「そろそろ、一気に片を付けたいところですわね」

二人そろって、目を細め、扉を睨みながら口の端を歪め不敵に笑う。ああ、何か嫌な予感がします。

「凛、ルヴィアゼリッタ。余り気を抜かないように、なにがあるか判りません」

「大丈夫よ、大したこと無かったじゃない」

「そうですわ、気を抜いているのはミーナの方。私たちを雑魚で足止めしようなどと」

私の注意も何のその、お二方は鼻息も荒く扉の周りの壁を探っている。

「ビンゴね、やっぱり扉周りの壁は脆い」

「後付けの仕切りだけですわね。石造りに見せかけていますけど」

どうやら思惑通りだったのであろう。お二方は、そのまま顔をあわせてにんまり微笑まれると、揃ってポーチから宝石を取り出した。

「セイバー、危ないから下がってて」

「一気に扉ごと向こうの雑魚を吹き飛ばしますわ」

「……分かりました、もう止めはしません。思う存分やっていただきたい」

お二方の景気の良い言葉に、私も腹を括ることにした。実のところ、私もそろそろ辟易していた所だ。もしこれが外ならば、私の宝具エクスカリバーで、一気に迷宮ごと吹き飛ばしてしまいたい気分になっていた。

「――――Anfangセット)―――Es braust稲妻よ ein Ruf wie Donnerhall,猛り  轟かん――」

「――――En Garand!―――Les noeuds ont e'celate'戒めを 解き放ち .Au vent manuvais吹き荒れる Qui m'emporte風のまにまに.――」


嬉々として床に簡易陣を敷いて、お二人の詠唱が始まった。時間に余裕があるのを良いことに、長詠唱で第一級の呪を放つつもりだ。

「――Sprach er詠唱……), da gluhten die Flammenされば、劫火は燃え,――Schlugen in Gluten zusammen共に 熱く燃え盛り――ein Schlag!一撃もて放たん

「――Les roses envole'es華は風に舞い散らん,――Et le vent風よ!, cette nuit, li en a fait de belles今宵  また  吹き荒れん!」


膨れ上がった魔力が、私達の目前で呪に編まれ、一気に壁に叩きつけられる。

―― 轟!――

炎が燃え上がり風が撒く。個々でさえ一級の呪が、風と火の複合呪となり螺旋をえがいて荒れ狂う。流石に呆れた、ほぼ最大級の複合呪だ、これなら相手がバーサーカーとて効果があろう。

「あ〜すっとした」

「ようやく気が晴れましたわ」

これで向こうの部屋に居た物は根こそぎ吹き飛ばされてしまったろう。実に晴れ晴れとした表情で、爆煙を眺める凛とルヴィアゼリッタ。その気持ちは理解できる。出来ればわたしがこの手で……

―― 厳 ――

だがその時、爆煙の向こうで何か重い物の動く音が聞こえた。地に槌を叩き付ける様な響き。それは規則正しくこちらに近づいてくる。

「ちょっと……なんですの? あれだけの呪を受けて……」

ルヴィアゼリッタの顔色が変わる。凛は無言で構えを取り、私も剣を握りなおした。かなりの魔力だ、先ほどの呪の総量ほどではないが、それでもあの爆発の中でこれほどの力を保つとは。

―― 厳 ――

爆煙の向こうから大きな影が、次第に姿を現してくる。微妙に歪んでいるのは爆発のせいだろうか?

「う……まさか……」

凛の顔色が、ルヴィアゼリッタとはまた違った色に変わる。口の端が笑うように歪んでいるのだが、何処か微妙に目が虚ろだ。

「凛、どうしたと言うのです?」

「ルヴィア、あんた気付かない? 向こうから伝わってくる気配。風と火よ」

なにを一体と、不審げに眉を顰めていたルヴィアの表情が、いまの凛の言葉で一変した。

「凛、ルヴィア。何のことでしょう!?」

剣を構え、煙の向こうから押し寄せる圧力に耐えながらも、わたしは二人に尋ねた。状況が分からなければ戦いようがない。

「あうう、なんて言ったら良いか……」

「少しばかり仕挫ったかもしれませんわね……」

凛もルヴィアゼリッタも何処か歯切れが悪い。渋い顔で天井や壁に視線を走らせ、もじもじと妙な動きさえ見せている。

「――来ます」

とはいえ相手は待ってくれない。煙の向こうで怪しく蠢く巨影は、ついに姿を現した。

―― 厳 ――

見上げるような巨躯、それはぷよぷとと柔らかそうに揺れる肉槐。ああ、そういえばシロウが焼いてくれたプティングがこんな色と艶だった。シロウ、あれはとても美味しかった。

「セイバー!」

唖然と見上げていた私に凛の声が飛ぶ。はっと反射だけで身をかわすと、そこをぷよぷよとした肉槐が、思いのほかの速度で通過して行った。む、このプティング、侮れません。

「凛、これはいったい」

私はプティングに対峙しながら尋ねた。形は歪んだ人形、頭はあるが目も鼻も口も無い。かなり大きくて、天井に届きそうな巨躯だ。とはいえ、このような巨人は見たことも聞いたことも無い。

「あうぅ……多分、エーテル塊製の機像ゴーレム。元はこの部屋に小さいのが一杯居たみたい」

「それが、わたくし達の呪を受けて一塊になってしまったようですわ」

凛とルヴィアゼリッタの、珍しく実に情けない声音。お二方は、そのまま渋い顔でプティングから距離をとっている。
なるほど、元々エーテル槐は魔力を吸収しやすい素材。対魔術機像マジック・ゴーレムとしては無難な選択だったのだろう。それにあの巨大な呪がぶつかったのだ。エーテル槐そのものの量が少なければ蒸発して終わりだったものが、この部屋も多分いままで同様、部屋一杯の機像で埋められていたのだろう。蒸発し切れなかったエーテル塊が呪の魔力を吸い取り、膨れ上がって一つに纏まってしまったと言うことか。よくよく見れば腕や足、胴なども、人形が組み合わさったような形をしている。

「分かりました。では二人とも下がってください。剣で片を付けます」

ならば、魔術師の出番は無い。骨があるかどうか判らないが、三枚におろして膾に切り刻んで差し上げましょう。丁度良い。いままでの成り行きで、わたしも些か腹に溜まっていたところ、このあたりですっきりさせて頂きます!




「ミーナさん。やっぱり忙しかったんじゃないのか?」

士郎くんの済まなそうな声。私と士郎くんは、今、迷宮最下層の談話室でお茶を飲んでいる。他の階層とは違い、この最下層、一本道で各部屋を繋いでいるとはいえ、ごく普通の研究室ラボ形式のフロアだ。

「そんなことは有りませんよ」

とはいえ、やっぱりちょっとそわそわしていたみたい。士郎くん、女心には疎いけど、それ以外の細かな感情や、気配の機微にはかなり鋭いんですよね。

「でも、ちょっと気になる仕事を残してきたんですよ」

だから、ほんのちょっとぼかして正直に話しておく。嘘を付く必要は無い。ただ全部話さないだけ。

「じゃ、悪いことしちゃったかな」

士郎くんは、それでもやっぱり済まなそうな顔をする。なんだかこちらが済まなくなりそう。本当に、もうちょっとやんちゃでも良いんですよ。

「それより、士郎くんのお仕事の方は大丈夫なんですか?」

「ああ、品物は完成した。あとは包むだけだ」

だから、少しだけ話を変えてみた。と、ようやく士郎くんは、明るい表情でうんと頷いてくれる。やっぱりこっちの顔のほうが良い。

「問題はどうやって渡すかですね」

「そうなんだよな。いきなり渡すわけにも行かないし、何か切っ掛けが欲しいんだ」

「それなんですけどね……」

―― 頑…… ――

上手く話の方向がこちらに乗ってきた。そう思った矢先、迷宮が揺れた。

「ミーナさん……」

とっさにティーカップを押さえ、揺れ具合を図っていた士郎くんが、不審そうな表情で私に問いかける。それはそうだろう、これは地震の揺れではない。どこかで何かが爆発したような、そんな揺れ方だ。

「ちょっと見てきます。士郎くんは心配しないで待っていてくださいね」

わたしは出来るだけ、落ち着いた素振りで席を立った。なんでもないこと、ちょっとした手違い、直ぐ解決する問題。そう、今はまだ士郎くんに不審に思われてはいけない。そのまま部屋を出ると、私は一転、急ぎ足で管制室に急いだ。どうやら、皆さんを少し甘く見すぎていたかもしれませんね。




「せい!」

気持ちの良いくらいの切れ味で、プティングの腕が落ちる。べちゃりと落ちた腕が、また蠢きだすのは如何な物かと思うのだが、今は気にしない。とにかく、この巨体を切り刻むことに専念する。

「うわぁ、ちょっと触りたくないわね」

「魔力を吸い過ぎて過飽和しているんですのね、細かく刻めば形を保てなくなりますわ」

そんな私を、後ろの方でお二方が無責任な論評をなさっている。甚だ勝手だ、なにか少しばかり気に障る。

「きゃ!」
「ひゃう!」

そのようなわけで手元が狂った。指を数本、お二方の方へ切り飛ばしてしまった。
む、上手く避けましたね……

「止めです!」

些か不本意ではあるが、私はこれで終わりと思い定めた。両手と頭を切り落とされ、よろめくプティングをこれが最後と、両足の付け根から真一文字に横なぎにする。

―― 拔!――

見事に切り離された胴体が、粘りながらもぐらりとずれて、轟とばかりに崩れ落ちた。そしてそのまま、勢いあまって床までをぶち抜く。おや?

「凛、ルヴィアゼリッタ。これは……」

確か、この迷宮の壁はかなり強固な呪で固められていたはず、先ほどの爆発があったとはいえ、この程度でどうこうなるものではないと思うのだが。

「なによ、床は張りぼてじゃない」

プティングの開けた穴を覗き込んだ凛が、呆れたよう声で言う。

「レールに配線、これは導管ですわね」

同じように覗き込んでいたルヴィアゼリッタも、プティングに埋もれたもろもろの機材を確認しながら、口に手を当て考え込む。
と、先ほどまでの躊躇は何処へやら、うんと一つ頷くと、凛はひらりと穴に降りた。

「バックドアね、保守点検と再配置用の」

そのまま中を確認し、凛は口の端を歪め微妙な色に目を輝かせる。床下の通路は、迷宮内部ほど高くは無いが、それでも人がギリギリ立って歩ける高さがある。どうやらどこかに繋がっているようだ。

「つまり?」

「この迷宮の、裏口と言うわけですのね。上手くすれば一気に最下層までいけますわ」

私の問いに、ルヴィアゼリッタも、先ほどまでの渋い顔が嘘のように上機嫌で拳を握りしめた。そして、そのまま凛と顔を見合わせ、低い声音で笑い合う。
私はそんな二人の様子に、小さく溜息を付いた。お二方、それではまるで悪役です。

「セイバー、それじゃ行くわよ。まともに迷宮を付き合ってたら、体力も魔力も持たないから」

「折角の抜け道ですもの、たっぷりと活用させていただきますわ」

些か薄汚れてきたとはいえ、お二方ともここへ来て元気百倍といった顔だ。なんとも調子の良い方々だ。とはいえ、これは確かにチャンス。本丸への抜け道を見つけたのだ。ヴィルヘルミナ、このまま一気に詰ませて頂きます。




「いない……」

壁一面に備え付けらたれたモニターを前に、私は臍をかんだ。本当に甘く見すぎていたのかもしれない。もう一度各フロアのカメラを切り替え、舐めるようにチェックをする。一体何処へ隠れたと言うのだろう。

「まずいですね、出て行った様子もないし」

出入り口はこの最下層と、迷宮の入口だけ。どちらもカウンターでチェックしてある。魔術的なものでなく機械的な仕組みであるだけに、凛さんやルヴィアさんでは気付かないはずだ。とすると……

「――?」

ふと、切り替わる画面に妙な違和感を感じた。改めてそのカメラを一番大きなモニターに映し出す。

「別に変わったところは……」

その部屋は第二層の機像階の一室だ。能力は低い機像群だが、とにかく数で被験者プレイヤーの根気に挑むこの層で、この部屋には確か対魔術用として、視肉機像エーテル・ゴーレムを配置していたはず。

「え?」

違和感の正体に気がついた、床だ。戦闘の跡も生々しいこの部屋なのに、床が綺麗過ぎるのだ。私はそのままカメラを赤外線、紫外線と切り替えて改めて見直す。

「――っ!」

仕挫ったかも知れない。各種のカメラで見直した床は、ぽっかり穴が開いていた。穴が見えないのも道理、床一面をすっぽりエーテル槐で覆い、そこに幻影をかけて床の外見を維持していたのだ。私は慌てて制御盤を操作する。
やはり、あの部屋の床下は点検用通路が通っている。と言うことは……しまった!

―― 豪!――

「きゃ!」

ここで再び振動音、つづいてアラームが鳴り響く、今のはかなり近い。慌てて制御盤を操作するが、モニターの殆んどは光りを失い、迷宮のかなりの部分も赤いランプで機能停止を告げている。
こうなっては制御盤での操作は意味が無い。慌てるな、とにかく考えよう。まずあの三人の位置だ。あの通路は曲がりくねりながらもこの最下層まで続いている。最終の点検口は正面の入口だが、確かその前に……

まずい!

背筋を突き上げる直感と、制御室の出口への跳躍、そしてこの部屋の天井が崩れるのはほぼ同時だった。

「「ミーナ!」」

部屋の中央、崩れた天井から舞い降りたのは、仁王立ちする二人の魔神。
牙の生えた白兎を青いリボンで縛りつけ、逆さに吊るし手にしているのは凛さん。足元にクッション代わりだろうか? ずたぼろになった蛙面の道化人形を踏みつけているのはルヴィアさんだ。

「ボーパルバニーにフロッグ。再配置室リロケーション・センターを制圧されたんですね」

「そうね、五月人形ハタモトがいたっけ」

ハリウッドニンジャマスターニンジャも、どういうつもりかは存じませんけど」

わたしの驚愕を他所に、不敵に笑って一歩前進されるお二人。ちょっと怖いかもしれない。

「さ、勝負は付いたわよ」

「大人しくシェロを渡してくださる?」

「そうすれば、少しは情状を酌量してやってもいいし」

「事前の申し上げて起きますけど、受付時間は九時から五時までなんて言い訳は通じませんわよ」

魔術刻印を煌かせながら、なおも迫るお二方。でもね、凛さん、ルヴィアさん。ここもまだ“迷宮”の中なんですよ。わたしは身を縮こませながらもタイミングを計った。

「えい!」

更に一歩前進、お二方が部屋の中央に到達したタイミングで、私は扉脇のスイッチを入れる。と、お二方の足元の床がぱかんと開いた。

「なに考えてんのよ〜!」
「冗談では有りませんわ〜!」

ドップラー効果を引き連れて、見事二人揃って落とし穴に嵌られた。そう深くありませんから、怪我はしないと思いますよ。

「さて、これで逆転ですね」

私は穴の縁まで這い進み、お二人を見下ろしてにっこりと微笑んだ。落ちた部屋は、分厚いエーテル塊で覆われていて、よほどの魔術でない限り魔術を使っても糠に釘だ。かなり柔らかな組成でもあり、おかげでお二人とも、尻餅はついているが怪我は無いようだ。

「それはどうかしら?」

だというのに凛さんはなおも不敵に笑っている。ルヴィアさんも同じだ。腕組みして、つんとこちらを見据えているが、焦った様子は見受けられない。はて?

「……! セイバーさんは!?」

しまった! もう一人、大事な人を忘れていた。

「ビンゴ」

にんまり笑う凛さんの視線は、私で無く私の背後。慌てて立ち上がったところで、背中にちくりと切っ先の当る感触。

「ここまでです」

鈴を転がすような凛とした声色、振り返れば、きっとあの華麗で涼やかな聖翠の瞳が、私を見据えているだろう。

「抜かりました。凛さんたちを囮にするとは」

「いいえ、ヴィルヘルミナ。本丸への抜け道を察知されて、直ぐ手を打たなかった時点で貴女の負けです。勝負の最中になにをしていたのですか?」

冷たい声で言われてしまった。確かに甘く見すぎてしまった。

「その、士郎くんとお茶を……」

言い訳にしかならないけれど、やっぱり私も士郎くんには甘かったようだ。士郎くん誘い上手ですもん。

「ヴィルヘルミナ。貴女までそんな事では困ります。それでは、このような仕儀に至った意味が無いではありませんか」

「ごめんなさいね、セイバーさん」

私が謝ると、セイバーさんは溜息をついて剣を納めてくれた。

「些か状況が食い違いましたが、これで私の詰みです」

「ええ、これで通算セイバーさんの五勝三敗四引分になりましたね」

ここは私のホームグラウンド。これで五分に持っていけると思ったんですけど。ああ、凄く残念。

「ちょっと待った! セイバー! ミーナ!」

「貴女方は何の話をしているんですの!」

穴の中でお二方が、事の成り行きに猛然と、食い付かんばかりの怒声をあげている。その、つまりですね。



「グルだったんですよね。私とセイバーさん」

「申し訳ない。凛、ルヴィアゼリッタ」





「遅いな、ミーナさん」

ミーナさんが部屋を出て行ってから、随分時間がたった。さっき妙な振動、その後も数度振動があってちょっと不安だったが、今はもう不審な物音は鳴りを潜めたようだ。
とはいえ、音沙汰無しでは別の意味で不安になる。俺は出来上がった作品を手に、ミーナさんを探すことにした。

「妙に埃っぽいな?」

別段、不審な物音がするわけではないが、通路はどこか埃っぽく、浮ついていた。

「取敢えずミーナさんがいた部屋へ行くか」

俺はそう思い定めると、先ほどミーナさんが居た部屋へ向かうことにした。

「なんだこりゃ?」

先へと進むうちに通路が埃っぽいわけが分かった。先ほどミーナさんがいた部屋はドアが外れ、中から瓦礫があふれ出している。

「大丈夫なのか?」

もっとも、既に騒動は納まっているようだ。中からミーナさんの元気な声も漏れてくる。ん? ミーナさん一人じゃないのかな?
俺は部屋の入口辺りで、何とはなしに足を止め、聞き耳を立てていた。

「べ、別にわたくしはシェロに甘えてなんかいませんわ」

「そりゃちょっと、我侭だったかもしれないけど」

へ? 遠坂? ルヴィアさん?

「では、何故毎日のようにシロウの意識を失わすような真似をするのですか? あれが甘えで無くてなんだと言うのです!」

今度はセイバーだ。なんなんだ?

「それは士郎が悪いんだから」

「そうですわ、大体シェロが他の女の方に気を廻しすぎるのが原因です」

ちょっと待て! 俺が何時そんな事をした。

「司書の方々のところへ行くのも、勉学の為と理由はあったはず。なのに何時までも拗ねていたのは貴女方です」

「それにしちゃ回数が多すぎる」

「毎日通うなんておかしいですわ!」

あ、そりゃ最近は毎日通ってたけどさ、別に遊びに行ってたわけじゃないぞ。

「ちゃんと理由は聴いたんですか? 士郎くんは、理由も無く女の人の後にくっついていくような子じゃありませんよ」

「う、だってなんか聞きにくいじゃない」

「他の女の方のことなんて……き、聞けませんわ」

「だからと言って、拗ねてシロウに当るのは単なる甘えです。どうして貴女方はシロウのことになると、そう自制がなくなるのですか!」

何かわからないが、どうやら俺のせいで、ミーナさんとセイバーが遠坂とルヴィアさんと喧嘩をしているらしい。どんな理由があるにせよ、そんなことで喧嘩はよくない。

「仕方ありませんね。じゃあ言っちゃいます。士郎くんが司書さんたちのところへ日参した理由はですね……」

あ、ちょっと待ってくれ、それは、

「待ってくれ、ミーナさん。あとは俺が自分で言うから」





「待ってくれ、ミーナさん。あとは俺が自分で言うから」

こうなったら最後まで、と私が口を開いたところで、戸口からいきなり士郎くんの声。驚いて振向くと、困った顔の士郎くんが、頬を掻きながらゆっくりと入ってきた。

「って、どうしたんだここ? まるで戦場じゃないか」

あ〜、実は戦場だったんですよね、さっきまで。

「シ、シロウ……」

セイバーさん、セイバーさん。ここで動揺しちゃ駄目ですって。

「ちょっと、士郎なの?」

「シェロ? 捕まっていたのではなかったの?」

一方、穴の底でも凛さんとルヴィアさんが顔を見合している。あれまあ、こっちもばれちゃいましたね。

「捕まった? 何の話だ?」

でも、さすが士郎くん。相変わらず一人だけ状況が掴めてませんね。

「それよりもどうしたんだ? 遠坂、ルヴィアさん。穴になんか入って」

「馬鹿、入ったんじゃないの! 落とされたの!」

「シェロ……どうしたらそんな発想が沸いてきますの?」

暢気に穴を覗き込み不思議そうな顔の士郎くんに、お二人の罵声が飛ぶ。私にも思いつきませんでしたね、今の科白は。

「シ、シロウ。これには訳が……」

はて、と顔を向けられて、士郎くんが現れてから、妙に落ち着きの無いセイバーさんが、言わずもがなな言い訳を始めた。セイバーさん、今更それは無いでしょう? こうなったら一蓮托生なんですから。

「セイバー、話は後にしよう。とにかく遠坂とルヴィアさんを穴から出す。良いですよね? ミーナさん」

士郎くんの言葉に私はこくりと頷いた。こうなったら腹を括ります。セイバーさん、そんな顔したってもう駄目ですよ。




「これを?」
「わたくし達に?」

お二人を引き上げ、お風呂に入ってさっぱりして一段落着いたところで、士郎くんは凛さんとルヴィアさんに贈り物を手渡した。

「二人に仲良くなってもらいたいからな」

士郎くんの手渡した贈り物は、二つの指輪。それぞれ剣鉄製の剣の形を模したリングに、赤い石は銀の台座、碧の石は金の台座に収めた、同じデザインの指輪。一つの石から切り出した二色の二つの石に、二人への思いを込めて作ったささやかな魔具。

「この宝石は……」

「ああ、あの時割った猫目石だ。ちっちゃくなっちゃったけど、ちゃんと磨いたんだぞ」

「これを磨くのに手助けしてもらったのね」

士郎くんの言葉に顔を見合わせたお二方。代表するように凛さんが、なるほどとばかりに呟いた。

「俺だけじゃどうしようもなかったからな、お願いして手伝ってもらったんだ」

これでようやくすっきり出来たと士郎くん。晴々としたとっても素敵な表情だ。

「わたくし達に言ってくだされば……」
「……って訳には行かないわね」

そんな士郎くんに、今までのことを思い出してか、ちょっと肩をすぼめながら、お二人は揃って小さく溜息を付いた。

「ごめん、士郎。最近ちょっと我侭言ってた」
「ごめんなさいシェロ。我侭でしたわ」

そのまま続けて、これまた二人揃って小さな声で士郎くんに謝罪する。良かった、これで万事解決。

「ま、それは置いといて」
「随分と楽しんでいただけたようですわね?」

と、一転怖い顔で私とセイバーさんを睨んでくるお二人。 あはは、やっぱりこっちに来ます?

「ええと、これにて一件落着って言うわけにはいきません?」

皆で楽しんだから良いんじゃないかなって、ちょっと期待を込めて聞いてみた。

「行きませんわ」
「行くわけ無いじゃない」

むべもありませんねぇ。お二人とも、揃って誤魔化すんじゃないって言う目をしています。これは逃げられませんか。

「そりゃミーナさんの気持ちは嬉しいけど、これはちょっとやりすぎじゃないか?」

あれまあ、士郎くんまで困ったような顔で私達を見てくれます。結構、士郎くんはこういう悪戯に厳しいんですよね。

「分かりました。魔術師は等価交換。大抵のことはお引き受けします」

仕方がありません、此処まで来たからには腹は括りますよ。私は、そっと距離を置こうとするセイバーさんの手をがっちりと掴み直し、苦笑しながら頷いた。セイバーさん目を逸らさないでくださいね、貴女も同罪なんですから。

「あの……私もですか?」

一渡り皆の顔を見渡してセイバーさん。諦めたように、はあと小さく溜息を付いた。

「当然。ま、わたし達だって鬼じゃないもの」

「多少は楽しみましたもので、簡単なことで許して差し上げますわ」

にっこりと私とセイバーさんに笑顔を送るお二人。わあぁ、凄い笑顔ですね。士郎くんが怯えるわけです。お手柔らかにお願いします。

「二人で一生懸命勤めさせていただきますね」

ちょっとばかり持ち出しになってしまったけれども、大事な弟弟子の為ですから。ここは涙を飲んで苦難に耐えましょう。私はにっこりとセイバーさんに笑いかけた。

「やはり、私も一緒なのでしょ……いえ、承りました……」

やだなぁ、何で私がって顔しなくてもいいでしょ? そんな目で睨んだって、可愛らしいだけですよ、一緒に頑張りましょうね、セイバーさん。

END


魔術師と騎士、ぐるになって王子様方を諌めるのお話でした。
お姫様は蚊帳の外。ま、結局しめはお姫様しろうくんだったんですが。
今回、ただ凛たちにダンジョン探検させたかっただけのお話。
含みも何も無い話でしたが、たまにはこんな話も良いだろうと。
ちなみにお姫様からの贈り物は、 きんのけもの 第五話のあの宝石の成れの果てでした。


By dain

2004/7/7 初稿
2005/11/7改稿

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